アサーションの実践方法と実例。言いたいことが言える、溜め込まない会話術。




自分の言いたいこと・伝えたいことを我慢していませんか?
逆に、相手に対して一方的な主張をしていませんか?
相手の意見も自分の考えも大切にできるコミュニケーション法「アサーション」を活用して、仕事はもちろん恋人・友人・家族と、気持ちのいい関係を築きましょう!
Contents
アサーションとは?
英語assertion(アサーション)の日本語訳で使われる「自己主張」という意味から考えると、強めの自己主張をイメージしてしまう方もいらっしゃると思います。
しかしこのアサーションという手法は強い主張を指すわけではなく、「相手に嫌な思いをさせないように、自分の主張を伝える」ことを言います。
お互いを思いやる方法で、お互いを大切にしたコミュニケーション法です。
自己表現の方法3種類
自己表現を3種類に分けるとこうなります。ドラえもんのキャラクターで例えると…
- ノン・アサーティブ(非主張的):他人優先。おどおどした感じ。のび太。
- アグレッシブ(攻撃的):自分優先。きつい主張や言い回し。ジャイアン。
- アサーティブ:自分のも相手の意見も大切にする。しずかちゃん。
となり、この3番目のしずかちゃんパターンをアサーションといいます。人として魅力的ですよね。
アサーションは、自分の考えや気持ちを、なかなか相手に伝えることができない方には特におすすめです。
その時々にあった方法で、相手も自分も気持ちよくコミュニケーションがとれるように、ぜひアサーションを生活に取り入れてみてくださいね。
アサーションの方法とコツ
普段自己主張が苦手な人ほど、相手におされてしまって会話が終わったり、不本意な結果になってしまったりしますよね。
また、反対に威圧的に相手を抑えるコミュニケーションをとってしまい、その後のつながりに影響する方もいらっしゃるでしょうか。
アサーションを実践するには、5つの考え方が基本になります。5つの「アサーティブ・マインド」をご紹介します。
自分の気持ちに正直に!
周りが気になってしまうかもしれませんが、まずは自分自身の感情・気持ちにウソをつかないようにしましょう。(気持ちを「伝えない」というのも選択肢の1つですよ。)
そしてそれをストレートにつげられた時、相手がどういった感情・気持ちをもつか考えることが大切です。
「私は~」というアイメッセージを使おう!
「私は」という主語(アイメッセージ)を使い、自分の気持ちを伝えましょう。
自分が主語になるので、考えていることなどを率直に表現しやすくなります。
相談そして譲歩案を!
初めから「無理」「できない」と、否定的な言葉を使わないようにします。
相手に状況を説明・相談したうえで、譲歩案を提示しましょう。
命令よりもお願いを!
上司や親など、一般的に「上」の立場にいると、ついつい命令(強制)口調になりがちです。
平行線の話し合いには、お願いテクニックが活躍します。
自分を責めない!
自分の発したことがいい結果にならなくても、自分を責める必要はありません。
「うまくいかなかった」という結果にだけ、目を向けましょう。
アサーションの実践例
では上記の方法・ポイントを踏まえて、実践例をいくつかご紹介します。アサーティブなコミュニケーションを訓練することを、「アサーション・トレーニング」と言います。
【ビジネス】忙しいのに、また新しい仕事を頼まれた…
上司「この書類、まとめて!」
あなた「(今急ぎの仕事やっているのに…でも断れないし…)は、はい…わかりました…。」
抱えてしまった仕事の忙しさで、あなたは心身ともにつらい一日を送ることに…。
万が一、どちらの仕事も中途半端になってしまったら大事です!
上司「この書類、まとめて!」
あなた「今急ぎの仕事をやっています。あと二時間ほどで終わりますが、午後から書類まとめに取り組んでもよろしいでしょうか?」
このように、今の状況説明そして譲歩案を提示できると、お互いスムーズに進められますね。あとは、あなたの発したことに上司がどう結論をだすかは相手次第です。
【友人関係】友人が結婚!?なんで俺だけ…
友人「オレ、彼女と結婚することに決めたよ。」
あなた「なんだよそれ!この前ケンカしたって言ってたくせに!俺は別れたばかりだぞ!裏切り者ーーーー!」
…もう、気持ちの整理ができていないどころか、爆発しまくっていますね。
友人「オレ、彼女と結婚することに決めたよ。」
あなた「お!羨ましいなー!結婚おめでとう!」
自分の気持ちを包み隠さず伝えることがアサーションではありません。
例えばサービス業で、お客様に「私あなたの相手に疲れてます!」とは言えませんよね(笑)。
あなたの感情を「伝えない」選択肢もあるのです。
【カップル】彼女がいつも遅刻ばかり…
彼女「また遅刻しちゃったぁ。」
あなた「またかよ?!君はいつも連絡もなしに遅れてきて!何のために携帯もってるんだよ!!」
文句を言いたい気持ちもすごくわかるのですが、この言葉にきっと彼女はますます反抗的になりますよね…。
彼女「また遅刻しちゃったぁ。」
あなた「俺は君と○時からの映画をみるの楽しみにしていたのに、残念だな。」
主語を「俺」にすることで、相手を攻め立てる雰囲気が少なくなっていますね。
よほどでない限り、相手に罪悪感が目覚めるはずです。
【家族】家事や育児で、もめちゃう
あなた「これやっておいてって言ったのに!あなたはいつもそう!言ってもやらない!」
パートナー「たまたまできなかっただけじゃん。そっちだってこの前頼んだことすら忘れてた!」
あとは簡単に想像できますよね…お互いのこれまでをほじくりかえし、言い合いのエンドレス…。
あなた「私はこれをする時間とれなかったから、やってもらえると嬉しかった。」
パートナー「する時間なくて…。今からでもよければやるよ…。」
はじめから完璧な状況にならなくても、怒鳴りあって疲れる時間は少なくなりそうですね。
相手への不満を爆発させたいところですが、「私は~」のメッセージを使ってみてください。
【親子】子供との関係に危機感!?
子供「○○ちゃんがきらいだから、今日一緒に遊ばなかった!」
あなた「なんでいじわるするの?そういえばこの前も○○ちゃんを無視してたでしょ!」
子供「うるさいな!もういい!!」
ついつい親としての「正義」を伝えたくなってしまいますよね…自分も子供だった時は、親との感覚の違いに少なからず葛藤があったはずなのですが…。
子供「○○ちゃんがきらいだから、今日一緒に遊ばなかった!」
あなた「お父さん(お母さん)なら、みんなで遊びたいって思うな。」
子供「…。でもさ、いつもいつも嫌なこと言って、みんなを困らせるんだよ。」
子供の次の言葉を引き出せれば、あとはお互いの考えで話し合うことができますね。
子供は子供なりの世界で日々戦っています。大人の考えを押し付けるのではなく、人同士として対等に接していきたいですね。
アサーションができるとこんな効果が!
アサーションができるということは、相手に不快感を与えず自分の思いが伝えられるということです。
つまり、円滑な人間関係が構築できるわけですね。
特に利害関係や力関係にある場合、アサーションができていないと、抑えられた側がいっきに爆発してしまったり、今後の関係が途切れてしまったりしかねません。
職場の団結力や、家族の結束など、信頼関係を基とした心地よい関係を獲得するために、アサーションは大きな効果をもたらします。
まとめ
相手も自分も大切にできる「アサーション」をご紹介しました。
これまでの人間関係やコミュニケーション法を一度にかえることは、とても難しいことです。
しかし、アサーションという方法を通して、よりよい関係を築いていくことは、あなたはもちろんあなたの大切な人へも大きな効果をもたらします。
ぜひ、会話に積極的に取り入れてみてくださいね。